サブカルと国家表象の備忘録

土曜日、本当は暇じゃないしやらなきゃならないことがあるので図書館にいますが、かと言って無機質な「オシゴト」ばかりでも嫌になっちゃう。 ということで、暇つぶしに備忘録を書いておこうと思う。 ここ最近考えているのがまさにここ、「国家表象」なんで…

村田沙耶香「地球星人」

新潮 2018年 05月号 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/04/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (1件) を見る 村田沙耶香さんの「地球星人」。ネットでは概ね好評で、時々、その終わり方に不快感を示す方もいらっしゃる様子。 さて、結論から言えば…

「この世界の片隅に」は何があるのか

この世界の片隅に 発売日: 2017/05/10 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログ (2件) を見る ※原作漫画を参照せずこの文章を書いているため、あえて周作・白木リンの交流などには触れない。また、ネタバレを多分に含む。 映画『この世界の片隅に』を見…

映画『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』

イフ アイ ステイ(字幕版) 発売日: 2015/04/01 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る いやはやこのセンスの悪い和訳は何とかならないものか。 原題は「If I stay」──それならまだわかるが、これをカタカナの羅列にしてしまうともう我慢ならな…

セックスとしての映画『君の名は。』

君の名は。 発売日: 2017/07/26 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログ (16件) を見る 数年前に日本中が湧いたのがこの映画である。何だかそれにしては、例えば映画『千と千尋の神隠し』などが名作として名を残しているのに比べて、なんだかあの一時…

ベルンハルト・シュリンク『朗読者』

朗読者 (新潮文庫) 作者: ベルンハルトシュリンク,Bernhard Schlink,松永美穂 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/05/28 メディア: 文庫 購入: 7人 クリック: 104回 この商品を含むブログ (168件) を見る 「歴史とは、物語である。」 この『朗読者』が原…

澁谷知美『日本の童貞』

日本の童貞 (河出文庫) 作者: 澁谷知美 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2015/07/24 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 個人的に興味のある分野というのがいくつかあって、その一つが「ジェンダー」だった。と、言ったところで、なんだ…

映画『アバター』

アバター (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る 旧約聖書では、アダムとイブは、知恵の実を食べてエデンの園を追放される。失楽園である。その聖書を遠く受け継いだヨーロッパ人が、実際には世界中を股にかけ、植…

筒井康隆『文学部唯野教授』

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸) 作者: 筒井康隆 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2000/01/14 メディア: 文庫 購入: 30人 クリック: 355回 この商品を含むブログ (234件) を見る かつてそれなりにヒットを飛ばした作品らしいが、それも納得であった。…

ドラマ「アンナチュラル」とドラマコミュニティの時代

TBS系のドラマ「アンナチュラル」が最終回を迎えた。視聴率こそ飛びぬけて高いというわけではなかったが、録画率や、あるいは話題性という点では、今クールはピカ一だったろうと思う。 殊に自分は、このドラマに対してそれなりの想いがあった。ドラマ放送以…

ドラマ「アシガール」と日本の運命感

古来、電灯があちこちに灯される以前、旅人は夜には出かけることを諦めていたという。どうしても夜道を進まなくてはならないときは、満月の光を頼りにしていたという。 これは、高校の古典の授業で、確か聞いたことのあるような話だが、それが本当であるか分…

映画『愛を読むひと』

愛を読むひと<完全無修正版> [Blu-ray] 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 発売日: 2014/02/05 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (3件) を見る 歴史とは、物語である。 このことは、何も物珍しい異端の信念で…

青山裕企「スクールボーイ・コンプレックス」

スクールボーイ・コンプレックス 作者: 青山裕企 出版社/メーカー: グラフィック社 発売日: 2014/06/06 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る この本には、美少年は出てこない。 これには誤解を招くかもしれない。誰もみな確かに「かっこいい…

ドラマ「精霊の守り人」とは何だったのか。

NHKが制作したドラマ「精霊の守り人」が最終回を迎えた。3年に渡って、断続的にではあるものの放送が続けられたことを思うと、時間の流れる速さのようなものを思わずにはいられない。 さて、このドラマは日本においては初めてと言っていい、本格的なファン…